加曽利貝塚ガイドの会
加曽利貝塚縄文遺跡公園の自然
加曽利貝塚縄文遺跡公園の植物で縄文時代に利用があったと考えられるものも含めて季節の植物を紹介します。
ケブカツルカコソウ(毛深蔓夏枯草)
シソ科のキランソウ属に属する草です。草丈は10~30㎝。名前の由来は見ての通り、全体に粗い毛が密生していて、花後に走出枝を伸ばし、ウツボグサに似ている花をつける事から来ています。同属にキランソウやジュウニヒトエがあり、ほぼ同時期に花を咲かせます。
(撮影2024年5月5日)
タブノキ(椨の木)
クスノキ科タブノキ属で、照葉樹林帯の代表的樹種のひとつで常緑広葉樹の大高木です。樹高は20-30mほどになり、太さも3.5mに達するものもあります。日陰に強く、潮風にも比較的耐えるので、海岸近くに防風林として植えられることが多いが、千葉市内の公園などなどでも良く見ることが出来ます。古くから樹齢信仰の対象とされ、神社の[鎮守の森]に良く巨木が良く残っています。
用途としては、葉を乾かして粉にしたものをタブ粉といい、蚊取り線香や線香の材料に利用され、樹皮からは黄八丈の染料がとれます。
(撮影2024年4月6日)
ニワトコ(庭常)
ニワトコはガマズミ科ニワトコ属の落葉低木。名前の由来[庭常]は庭の隅に常に植えられている木だから。別名はセッコツボク「接骨木]とも、この木を煎じて出た水あめ状のものを骨折の治療用の湿布剤にするからと言われています。
種子は多くの縄文遺跡で検出され、腐果実を好む昆虫遺体も一緒に出土することから、果実が酒造に利用された可能性も指摘される。しかし糖度の低さ、PHの高さからニワトコ果実を主体にした酒造は考えにくく、縄文時代の利用は謎に包まれています。
ニワトコは青酸配糖体という毒を含むものがあります。ただ、若葉は山菜として有名で、新芽を天ぷらにして食べられる事があります。
(撮影2024年3月28日)
カラムシ(苧麻)の新芽
カラムシはイラクサ科の多年生植物です。生長した葉は表が緑で裏が白ですが、新芽が赤いのはあまり知られていません。茎の皮が麻などと同じく非常に丈夫なので積んで糸とする他に紐、縄、漁網布、紙などに使われます。縄文人がカラムシを代表とするアサの繊維を使った布は通称、アンギン(編布)と呼ばれます。
(撮影2024年3月2日)
ヒガンバナ(シロバナヒガンバナ)
ヒガンバナ科・ヒガンバナ属。別名はマンジュシャゲ。通常よく見られるのは赤色種ですが、写真の様に色素形成異常で白い個体もみられる。ヒガンバナの名前の由来はお彼岸の頃に花を咲かせるからというのが一般的。花後の花径が無くなると葉が束になって伸びだす。原産地は中国の長江流域と考えられ、縄文時代の晩期から弥生時代の初めにイネと一緒に日本に渡ってきたと考えられている。日本列島に繁殖しているヒガンバナの多くは染色体が基本数の3倍あり、「種なし」で、種子では自ら生息地を広げない。球根は強い毒性を有する。
(撮影9月20日)
コブシの実
コブシはもくれん科、モクレン属に属する落葉高木で、早春に葉が出る前に他の木々に先駆けて白い大きな花を咲かせます。実は写真のように集合果になりますが、食べられない(辛夷と呼ばれる生薬としては使われる事も有り)。
(撮影8月8日、(花の撮影は3月22日))